故郷は遠きにありて思うもの
そして悲しく歌うもの
なんてもう何年も帰っていなかった故郷。
3/11の映像で私が学友と過ごした町のひとつが、海の藻屑となって消え果てるのを見た。
もう、ずっと連絡はとっていない。卒業して大分経つ。
だけれど、クラスメートにはあの飲まれた町々の農家の跡取りも少なからずいた。
みんな無事でいて欲しい。だけど、私の知る人全てが、その親族友人知人全てが無事だなんて、そんな幸運あるだろうか。
とても悲しい出来事だけれど、これが天災と思えば、あきらめるのは無理でも、ようよう、詮方ないと言葉を搾り出すこともできるかもしれない。
あんな大津波誰が予想できた、と。
誰にも、どうすることもできなかったのだ、と。
だから、あの日の被害については、誰も責めるつもりもない。
あの日、故郷が瓦礫に呑まれても、詮方ないと言えたかも知れない。
幸い、私の親族は誰一人犠牲を出さなかった。
実家も、あの揺れで倒壊することもなかった。
なのに今、両親は家を捨てる選択を迫られている。
原発だ。
嫌だといったのだ。
そんな恐ろしいものを作らないでくれといったのだ。
反対したのだ。
だけど、結局お金の力には勝てなかったのだろう。
原発の恩恵は受けないが、いざという時の危険だけはある実家近辺は、放射線計測器を購入して備える以外になかった。
川俣町を知っていますか?
山や川がとてもきれいなところです。
有機農業をしていたり、昔は養蚕が盛んな町でした。
"絹の月”なんて、明らかに某萩の月のパクリのお菓子もあります。
本当に普通の素朴な町なんです。
それなのに、原発に飲まれていくんです。
地震で倒壊したなら、何年かかっても復興させるでしょう。
過疎化で消えていくなら、侘しいけど仕方ないです。
だけど、原発はここまで酷くならないうちに対処できたんじゃないですか?
遠くから故郷を思うことすらできなくなる。
故郷が消えていくんです。
両親が頑張ってきた全てを、原発が、無能極まりない民主党が否定していくんです。
返してくださいよ。ただ、素朴でなんの取り得もない、懐かしいだけのあの景色を返してください。
保障なんて要らないです。
奪った全てを返してくれさえすればそれでかまいません。
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