※注意!
この下にはファンには「十二国記シリーズ」とよばれる小説の一部を抜粋しております。
1994年に発行された「東の海神 西の滄海」より2箇所を抜粋していますが、どちらもネタバレの領域に踏み込んでおります。
できれば、本体をざっくり読んでから目を通すことをお勧めします。
ファンタジー慣れしていない人は「月の影 影の海」から読むことをお勧めします。(前半はかなり暗いので覚悟してください。)
この東の海神 西の滄海は、斡由を林代表に置き換えて読むと、後半かなり鞭打ちになりそうな勢いで同意できると思います。
念のため、ネタバレ嫌いな方がうっかり目にしないように問題部分はあぶり出し(背景と文字を同色にする。クリックドラッグの文字色反転で読める。)方式にしておきます。
斡由(あつゆ)、卿伯(けいはく)を「林代表」
民を「犬」
内乱、挙兵を「裁判」
辺りに脳内変換してレッツリーディング。
東の海神 西の滄海252ページより。
斡由は民のために立つ、とそう言った。斡由の言には理があった。だから唯々諾々と元州に捕らわれていたのだ。だが、正義を語る者が必ずしも全く正義の者ではないことを六太は忘れていなかったか。
人は正義を標榜するのだ。王や君主でさえ正義の御旗がなければ兵を動かすことなどできない。実体のない正義だ。だから正義が行われて、民はあれほど苦しまねばならない。
内乱が起これば民が苦しむだけだ、と六太は斡由に再三言った。民を思うと言いながら斡由がどうあっても兵を挙げようとするのはどういうわけか。真実民を思う者が、あそこまで挙兵にこだわるだろうか。斡由を説得しようとするたび、妙に感じざるをえなかった無力感が、斡由の正義に実態がないゆえのことだとしたら──。
東の海神 西の滄海255~257ページより
「卿伯は常に民のことを考えておられる。それは元州の諸官、端々までが知っていることだろう?」
女は失笑した。
「民のため?だったらなぜ堤防を切る。王師の数をあなたも知っているでしょう。元州は負けたの。卿伯は読みを誤ったんだわ。もう勝敗は確定している。なぜあえて堤を切って、民を虐げてまで戦う必要があるの?それが民を思う人のすること?」
(中略)
女は顔を歪める。
「こんなことに気づかなかった自分が悔しい。言い張る彼女を諭していた自分はなんて愚かだったのかと思うわ。──端々までが知っている?卿伯が民を思っていることを?そうでしょうとも。斡由にうかうかと騙された愚か者だけが残ったんですもの。それは城の端々まで、信仰が行き渡っていることでしょうよ。斡由の本性を見抜いた聡い人々はどこへ行ったの?わたしの友達はどこへ?」
余談になりますが、この十二国記シリーズは結構読み応えがありますよ。
まだ完結していませんが、私は番外編のひとつ、「図南の翼」がお勧めです。
逆に、出版社が異なりますが「魔性の子」はホラー表現オッケーでない限りお勧めできません。
話は好きですが、かなり・・・・・・グロ表現があります。
私が上記したページは、ホワイトハート版ですが、この出版社は腐女子系文庫をかなり出しているので、免疫のない人は講談社バージョンを手にしたほうがいいかもです。
挿絵ないけど、男性なんか特に桃色空間に突入するのは勇気が必要かもしれません。
同じ作者で「屍鬼」もかなり面白いですが・・・・・・相当死にます orz